クラボウ人権裁判弁護団長

クラボウ人権裁判とは、倉敷紡績株式会社に対し、従業員2人が、日本共産党員であることを理由とした差別は思想差別で憲法違反だとして損害賠償請求をした事件です。
伊藤建夫さんは1967年に、宮崎周吉さんは1971年に入社しましたが、日本共産党員であることを理由に、仕事の取り上げや不当な異動、「党員をやめろ」との執拗な強要を受け、賃金でも差別をされました。これに対し2人は2000年に、賃金差別に対する損害賠償を求め提訴しました。。2003年、大阪地裁は「クラボウ共産党員に対する差別意思を有し、会社の労務政策として共産党員を差別的に取り扱ってきた」と断罪し、勝利判決を言い渡しました。
東中光雄弁護団長は「原告側の完全勝利です」「当時の政治状況からクラボウ日本共産党員差別意思を明らかにし、さらに労働基準法3条違反で告訴し、思想信条による差別は犯罪であることを明らかにした」と、裁判の意義を強調しました。
控訴審の大阪高裁では勝利和解しました。和解では、「地裁判決が同社の思想信条による差別的処遇を認めたことをうけて遺憾の意を表する」と明記し、両氏に解決金を支払いました。なお、和解を受けて、宮崎さんは管理職に昇格し、伊藤さんは定年退職したので管理職相当退職金の差額を解決金で考慮されました。