白票 青票

衆議院本会議での表決は、起立による表決と記名投票による表決があります。記名投票は、議長が必要と認めたとき、または出席議員の5分の1以上の要求があったときに行われます。記名投票を行う場合には、問題を可とする議員は白票を、問題を否とする議員は青票を投票箱に投入します。
衆議院で使っている票の大きさは、長さ9cm、幅3.15cm、厚さ0.6cmで、檜の板でできています。この白板と青板には、議員の名前(東中光雄とか)が書き込まれています。名前を呼ばれた議員は、いずれかの板を持って演壇に向かい投票をします。

なぜ「賛成が白票(はくひょう)」で、「反対が青票(せいひょう)」なのでしょうか。
古来、日本では色の対照として、囲碁は、白の石と黒の石を打ち合い、相撲は、勝ちは白星、負けは黒星です。平家(赤旗)と源氏(白旗)の源平合戦になぞらえて、紅白歌合戦や運動会の赤組白組対抗戦があります。

私の初当選のときに衆議院事務総長であった知野虎雄さん(在任1967年7月21日-1973年9月27日)の説明では、1890年(明治23年帝国議会開設時の議院規則が、フランス国民議会の投票方式を取り入れたということでした。
私が、1997年に衆議院欧州議会制度調査団で、フランス国民議会を訪問したときに質問したところ、フランス国民議会では、賛成は白票、反対は青票、棄権は赤票を投じ、これはフランス国旗(三色旗)に由来しているという説明でした。

しかし、「白」対「青」という対決は、フランス直輸入というものではなく、日本古来の伝統に根ざしていると私は考えています。
白鳳時代(645年〜710年)に造られた薬師寺薬師如来台座には四方四神すなわち東に青龍(青)、南に朱雀(赤)、西に白虎(白)、北に玄武(黒)の彫刻がなされていますし、藤原京時代(694年〜710年)の高松塚古墳の石室壁面にも、四方四神が描かれています。現在も国技である大相撲の吊り屋根には、四房(青房、赤房、白房、黒房)が飾られています。

「白」対「青」の対決とは、「西」対「東」の対決、「虎」対「龍」の対決なのでしょう。
1000ピース 守護四神図 61-270